◆月経困難症とは
月経困難症は月経に伴って起こる病的な状態のことです。
下腹部の痛みや腰痛などの月経の一般的な症状に加えて、お腹の張り、頭痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、下痢、イライラ、憂鬱、疲労、脱力感などの症状も出現することがあります。
月経困難症は西洋医学では、
- プロスタグランジンの過剰分泌
- 子宮口が狭い
- 心理的要因
- 冷え
- 運動不足
などが原因として考えられています。
月経困難症は、機能性月経困難症と器質性月経困難症に分けられます。
①機能性月経困難症(原発性月経困難症)
原因疾患がない月経困難症
②器質性月経困難症(続発性月経困難症)
原因疾患(子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫など)があるために起こる月経困難症
◆東洋医学からみる月経困難症
東洋医学では、痛みの発症メカニズムとして2つのパターンがあります。
気の巡りや血の流れが滞ることによって起こる「不通則痛(ふつうそくつう)」
気や血の不足によって起こる「不栄則痛(ふえいそくつう)」
東洋医学では月経困難症は、
- 心理的要因
- 飲食の不摂生
- 冷え
- 過度な性生活
- 虚弱体質
などが原因と考えます。
その他の症状として、
- 下腹部や乳房の張り
- 胸苦しい
- 下腹部の冷え
- 腰や膝がだるく無力
- 頭のふらつき
- 耳鳴り
- 倦怠感
- 動悸
などがみられることもあります。
◆東洋医学における生理痛
月経困難症には様々な症状がありますが、その中でも多くみられる生理痛についてフォーカスします。
生理痛は東洋医学では「痛経」「経行腹痛」などといい、月経期あるいは月経前後に下腹部の強い疼痛が生じるものを痛経といいます。
ストレスや運動不足で気血の巡りが悪い、疲労や睡眠不足・飲食の偏りによる気血の不足、冷えの邪気、熱の邪気などが原因で、気血の運行が失調することによって痛みが起こります。
◆痛経の東洋医学的分類
- 肝鬱気滞
- 血瘀
- 湿熱
- 寒湿
- 衝任虚寒
- 肝腎陰虚
- 気血両虚
痛経の原因は人それぞれ違うため、痛みの部位・時期・性質などを考慮して、東洋医学的な体質を見極めます。
痛みの部位:下腹部、下腹部の両側、腹部全体、いつも同じ部位、毎回違う部位
痛みの時期:月経前、月経前半、月経中頃、月経後半、月経後
痛みの性質:張った痛み、引き攣る痛み、締め付ける痛み、刺すような痛み、痛みが持続的、痛みに波がある
月経期に下腹部や腰部に軽度の張った痛みが生じる程度で、日常生活に全く支障がなければ正常な現象の範囲内として捉えることができますが、服薬が必要なものや日常生活に支障をきたすものは異常と捉えます。