夏は一年の中で最も「陽気」が盛んな季節。東洋医学では、夏は「心(しん)」に影響を与えるとされ、心身のバランスを保つための“夏の養生”が大切です。本記事では、東洋医学の視点から、夏に気をつけたい体調管理法や食事の工夫についてご紹介します。
夏の特徴と東洋医学的な注意点
東洋医学では、夏は五行(木火土金水)の「火」に属し、臓腑では「心」と深く関係しています。「心」は東洋医学において、血液の循環や精神活動を司る重要な器官。夏は暑さによって「心火(しんか)」が高ぶりやすく、動悸、不眠、イライラ、集中力の低下などの症状が出やすくなります。
また、暑さと湿気によって「暑邪」「湿邪」の影響を受けやすく、倦怠感や食欲不振、むくみなども起こりやすい時期です。
東洋医学的「夏の養生法」
1. 心を穏やかに保つ
夏は感情が乱れやすいため、リラックスする時間を意識的に持ちましょう。瞑想、深呼吸、音楽鑑賞などで「心」の熱を冷まし、安定したメンタルを保つことが養生につながります。
2. 適度な運動で気血を巡らせる
朝夕の涼しい時間帯に軽い運動(散歩、ストレッチ、太極拳など)を取り入れるのがおすすめ。過度の運動で汗をかきすぎると、体内の「気」と「津液(体液)」が失われるため注意が必要です。
3. 冷たい飲食物の摂り過ぎは控える
アイスや冷たい飲食物の摂り過ぎは、体を冷やしすぎて「脾胃(ひい)」の機能を弱めます。冷飲食を摂り過ぎた際は、常温以上の飲み物や温かいスープなどで内臓を冷やさない工夫をしましょう。
4. 長風呂や熱すぎるお湯は避ける
長風呂や熱すぎるお湯は、体の陰液や気を消耗して体内の「陽」をさらに強くしてしまうため、心身の熱がこもりやすくなります。過剰な発汗や体温上昇は、陰陽のバランスを崩し、不調の原因になります。暑さが厳しい日は、半身浴や足湯などで、体を温めすぎないようにしましょう。
夏におすすめの食材と漢方的食養生
東洋医学では、夏の食事には「清熱」「利湿」「補気」「養心」などの作用が求められます。
目的 | おすすめ食材 |
---|---|
熱を冷ます | きゅうり、トマト、西瓜、緑豆 |
湿を排出 | 冬瓜、はとむぎ、小豆 |
心を落ち着ける | 蓮の実、百合根、なつめ |
胃腸を整える | 山芋、生姜、陳皮 |
特に夏場は、苦味のある野菜(ゴーヤ、セロリなど)が心の熱を冷まし、体の調子を整えてくれます。

まとめ:夏こそ東洋医学的な生活習慣を
夏は「外の陽気」と「内なる心火」が高まりやすい季節。無理せず、心と体をクールダウンさせる生活が大切です。食事、運動、休息のバランスを整え、夏の暑さに負けない健やかな毎日を過ごしましょう。
※この記事は東洋医学の観点から一般的な養生法を紹介したものであり、症状のある方は医療機関や鍼灸・漢方の専門家にご相談ください。
コメント