逆子(胎位異常)の症例です。
患者:30代女性
主訴:逆子(骨盤位)
妊娠32週頃から逆子(骨盤位)になり、1か月ほど経過しても逆子が戻らない。
帝王切開を避けるため、鍼灸治療で逆子の治療を行うことを選択。
初診時は妊娠37週目。
現在は専業主婦。
今回妊娠1回目。
◆体表所見
腰から下の冷えが強く、上半身は全体的に熱い
腎の経絡の経穴の弱りが多い
◆その他症状・情報
肩こり
花粉症(春型)
飲食の不摂生はない
幼少期から瘦せ型で食べる量が少なめ
身長・体重も平均より低い
幼少期から膝から下が冷えやすい
妊娠して数週間後から体が疲れやすくなった
妊娠25週頃から腰から下が全体的に冷えるようになる
◆治療
その日の経穴の状態に合わせて、腰の真ん中の経穴または足先の経穴のどちらか一箇所に、お灸で温かさを感じるまで治療。
通院間隔は週に1回。治療開始1週間後から胎児が動くことが増えてきた。
治療開始3週間後に自宅でソファに座っていた時に、胎児が大きく動いた感じがしたので産婦人科で検査したら逆子が治っていた。
逆子が治った後も、逆子の再発防止と体調管理を兼ねて、1~2週に1回の頻度で鍼灸治療を行う。
その後、逆子は再発することなく通常分娩で出産できた。
◆養生指導
体が冷えやすいので夏でも全身湯舟に浸かっていたが、腰から下の冷えている部位のみ浸かるように指導。
この患者さんは、東洋医学的に「上熱下寒」(じょうねつげかん)という状態で、上半身に熱が偏って下半身が冷えていることが原因による逆子でした。
胎児は頭部が冷えないように自然と頭を温かい方へ向けるといわれています。本来は下半身が温かければ胎児の頭部は下へ向いていますが、「上熱下寒」で上半身に熱が偏ると逆子になってしまいます。
「上熱下寒」による逆子の治療には、「頭寒足熱」(ずかんそくねつ)という考え方に則った治療と養生が重要です。
「頭寒足熱」とは、文字通り「頭を冷やし、足を温める」という意味です。
人間の体は、頭部が熱を持ちやすく、足は冷えやすい傾向があるため、この体温差を解消することが健康維持に重要です。
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