先日、はり師・きゅう師国家試験が行われ、受験された学生の皆さんは、すでに解答速報で自身の合否を確認されていることと思います。
合格ラインを超え、はり師・きゅう師の国家資格を取得できる見込みとなり、現在、就職先の鍼灸院を探している学生さんも多いのではないでしょうか。
今回のブログでは、そうした学生さんに向けて、鍼灸業界の現状についても簡単に触れていきます。
特に、「東洋医学を学べる鍼灸院」を探している学生さんや若手鍼灸師の方に読んでいただきたい内容です。
私の鍼の師匠である藤本蓮風先生の鍼灸院である、藤本漢祥院にて、現在、内弟子の募集が出ています。
採用情報 – 藤本漢祥院|中医学と日本古来の鍼灸法の優れた点を融合させた鍼灸院
今回は、その内弟子制度についてもお話ししたいと思います。
施術所数について
鍼灸院の数が全国にどれくらいあるか、ご存知でしょうか。
全国で鍼灸を行っている施術所の数は、令和6年度のデータでは約75,000ヵ所です。
ちなみに、身近にあるコンビニエンスストアの数は、2026年度1月度のデータでは約57,000ヵ所です。
コンビニエンスストア 統計データ|一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会
実は、鍼灸院の数はコンビニよりも多いのです。
この数字だけを見ると、「就職には困らなさそう」と思う方もいるかもしれません。しかし、鍼灸を行う施術所には、それぞれ治療法や治療方針の違いがあります。
- 自分がどのような鍼灸治療をしたいのか。
- どのような人を救いたいのか。
- どのような鍼灸師になりたいのか。
これらを明確にした上で、就職先を慎重に選ぶ必要があります。
鍼灸治療の大まかな分類
鍼灸の治療法は、大きく次の3つに分類されます。
①伝統鍼灸治療
経絡・経穴・五臓六腑など東洋医学の理論に基づき、脈診・舌診といった独自の診察法で身体の状態を把握し、自然治癒力を高めることで病を治します。
慢性痛、神経疾患、自律神経失調症、消化器症状、婦人科疾患など、幅広い症状に対応可能です。WHO(世界保健機関)やNIH(アメリカ国立衛生研究所)でも有効性が認められ、予防医療としても注目されています。
【例】
加齢による腎虚が原因の五十肩に対し、肩ではなく足の少陰腎経の経穴に鍼をして治療します。
患部と治療部位が必ずしも一致しないのが特徴です。
東洋医学的な体質や身体の状態に合わせて、手・足・腹・背・頭など全身にある経穴の中から治療穴を選択する。
②現代鍼灸治療
解剖学、生理学、病理学といった西洋医学的な知識・診断に基づいて、痛みや神経症状の原因箇所に直接アプローチする治療法です。
鍼刺激が中枢神経に作用し、鎮痛物質の分泌や神経の興奮・抑制を調整するという、科学的根拠に基づいて治療を行います。
【例】
トリガーポイント療法:痛みの原因となっている筋肉のコリに直接鍼を刺す。
鍼通電療法:刺した鍼に低周波の電流を流し、筋肉を収縮・弛緩させて血行を改善する。
運動鍼:鍼を刺した状態で関節を動かし、痛みの軽減・可動域改善・結構促進・筋肉の柔軟性向上などを目的とする。
③美容鍼灸
顔の皮膚や筋肉を直接刺激し、血流促進やコラーゲン生成を促す美容法です。
肌本来の回復力を高め、シワ、たるみ、むくみ、ニキビなどの肌質改善などを目的とします。
【例】
皮膚の真皮に鍼を打つことで微小な傷を与え、この傷を修復させるために、自然治癒力が働き、肌のハリや弾力性を保つ「コラーゲン」や「エラスチン」の生成が促進され、肌の状態が改善される。
鍼灸業界の現状
現在の鍼灸院の形態の主流は、
鍼灸×整骨×整体×マッサージ×カイロプラクティック×美容
といった「複合型治療院」です。
複合型治療院が多い理由は、
- 経営的に安定しやすい
- 来院理由を作りやすい(肩こり・腰痛・美容、リラクゼーション、メンテナンスなど)
- 保険・自費・美容・物販など収益源を分散できる
「技術的に」ではなく、「経営的に」合理的な形に進化した結果が今の業界構造です。
複合型治療院で働くメリット
複合型治療院のメリットについて簡単にまとめました。
- 求人数が多いので、就職しやすい
- 患者数が多いので、臨床慣れしやすい
- 幅広い治療法・施術法に携われる
- 西洋医学的な視点が身に付く
①臨床経験を早く積める
複合型治療院は、
- 来院数が多い
- 症状の幅が広い
- (肩こり・腰痛・スポーツ障害・産後整体・美容など)
短期間で多くの患者を診られる=臨床慣れするスピードが速い
これは新人・若手にとっては、かなり大きいです。
②手技・解剖・触診スキルが身につく
複合型では、
- マッサージ
- 整体
- 矯正
- 筋肉・関節へのアプローチ
を日常的に行います。
結果として、
✔ 筋肉の位置が分かる
✔ 体の硬さの違いが分かる
✔ 筋肉の緊張の区別がつく
✔ 触る力・圧・距離感が上手くなる
つまり、「体を触る基礎力」が身に付きます。
③患者対応・接遇スキルが鍛えられる
複合型は、
- 回転が早い
- 説明を簡潔にする必要がある
- 時には、クレーム対応もある
✔ 分かりやすく説明する力
✔ 信頼を得る話し方
✔ 患者のニーズを読む力
が鍛えられます。
これは、開業したら必須スキルなので、若いうちに身につくのは大きな武器です。
④就職しやすく、生活が安定しやすい
現実的な話として、
- 求人数が多い
- 採用されやすい
- 給与が比較的安定
- 研修制度がある場合も多い
↓
“鍼灸師として食べていく入口”にはなりやすい
いきなり東洋医学専門院に入れない人にとって、現実的な第一歩になります。
⑤西洋医学的視点も身につく
- 整形外科的評価
- 可動域
- 筋・関節由来の痛み
- テーピング・リハ的発想
にも触れます。
これは、
✔ 危険症状を見抜く
✔ 鍼灸適応・非適応を判断する
✔ 病院紹介すべき症例を判断する
力につながるので、安全な鍼灸師になるための土台になります。
⑥経営の現実が見える
- 集客
- 単価設定
- 回転率
- メニュー構成
- スタッフ管理
などの経営的な面を間近で見られます。
これは将来、自分で院を経営するなら、とても重要な学びです。
■「総合的な経験値」という点では複合型は有利です。
ただし、東洋医学を用いて鍼灸施術をしたいなら、大事な前提として、
✔ 鍼灸をやらせてもらえるか
→治療院によっては治療がマニュアルで決められていたりして、自分のやりたい治療をさせてもらえるとは限らない。1人にかけられる時間も限られていて、東洋医学の問診~診察~治療が中途半端になる。
✔ 研修があるか
→治療院で本格的な東洋医学と鍼灸の研修を受けられなければ、自分で勉強する必要がある。
東洋医学専門の鍼灸治療院で働くメリット
東洋医学専門の鍼灸治療院のメリットについて簡単にまとめました。
- 弁証論治を“日常業務”として使える
- “鍼灸だけ”で結果を出す臨床を学べる
- 病の“背景”を見る力が育つ
- 師匠の臨床を“間近で”見られる
- 将来「鍼灸一本」で勝負できる
- 鍼灸の“本来の価値”を実感できる
① 弁証論治を“日常業務”として使える
東洋医学専門の鍼灸治療院では、
- 四診(望・聞・問・切)を使う
- 気血津液・臓腑・経絡で考える
- 病名ではなく「証」で治療する
これが特別なことではなく“通常業務”です。
つまり、学校で習った
- 陰陽
- 五行
- 表裏
- 虚実
- 寒熱
などの東洋医学の理論が机上の空論にならない。
② 鍼灸だけで結果を出す臨床を学べる
- マッサージで誤魔化さない
- 電気で誤魔化さない
- 矯正で帳尻を合わせない
→「鍼と灸だけで変化を出す力」が求められます。
✔ ツボの選び方
✔ 刺し方
✔ 補瀉
✔ 深さ
✔ 方向
✔ 本数
などのすべてに、「意味」を持たせる訓練になります。
③ 病の“背景”を見る力が育つ
東洋医学専門の鍼灸院に来られる患者さんは、
- 慢性疾患
- 自律神経症状
- 病院で異常が見つからない原因不明の症状
- 治療法がない難病
など重症度の高い疾患の方が多いです。
東洋医学の理論に基づいて、患者さんの体質と病を分析する必要があるため、「なぜそうなったのか」を考える癖がつきます。
④ 師匠の臨床を“間近で”見られる
✔ 問診の仕方、要点
✔ 診察時の体表への触れ方
✔ 治療穴の決め方
✔ 鍼の操作
✔ 患者さんへの言葉のかけ方
✔ 治療前後の変化
などを目の前で学べます。
これはセミナーや本では代替できません。
⑤ 将来「鍼灸一本」で勝負できる
- 鍼灸で差別化できる
- 価格競争に巻き込まれにくい
- 流派・理念が明確
- 専門性を語れる
これは開業したときに圧倒的な武器になります。
⑥ 鍼灸の“本来の価値”を実感できる
- 薬に頼らなくてよくなった
- 手術せずに済んだ
- 体質が改善された
- 何をしても治らなかった慢性疾患が治った
- 検査をしても原因不明だった症状が治った
- 難病が治った
などといった現場を見ます。
「鍼灸って本当はこういう医学なんだ」という原体験が得られる。
これを持っている鍼灸師と持っていない鍼灸師は、臨床観が一生違います。
■東洋医学専門の鍼灸院は、複合型治療院よりも規模が小さい
全国にグループ展開しているような複合型治療院とは違い、東洋医学専門の鍼灸院は少数精鋭になりがちです。
東洋医学専門の鍼灸院は、分院を展開している治療院も少なく、給与や福利厚生といった面でも複合型治療院に比べると控えめなことが多いです。
しかし、東洋医学専門の鍼灸院で働くことで、“単なる鍼灸師”ではなく『東洋医学の臨床家』を目指せるのが、複合型治療院ではできない一番のメリットになります。
東洋医学専門の鍼灸治療院は少ない
ここまで、複合型治療院と東洋医学専門の鍼灸院について解説してきました。
では、実際にどこで東洋医学を100%実践している鍼灸専門の治療院があるのか。
東洋医学専門の鍼灸院は、希少な存在です。
東洋医学を用いて鍼灸のみで病を治すということは、それだけ求められる東洋医学と鍼灸の学術に対する理解も深くなければならないためです。
東洋医学専門の鍼灸院が少ない理由として、
① 鍼灸が“選択肢の一つ”になっている
複合型治療院では、
- 鍼灸はメニューの一部
- メインは整体・マッサージ・美容
- 東洋医学的診断は簡略化されがち
というケースが非常に多いです。
つまり、東洋医学(伝統鍼灸)を「医学」として体系的に使う場が少なくなっています。
② 東洋医学を本気で学べる職場が激減
東洋医学を用いて鍼灸をしたい求職者から見ると
🔹 東洋医学で診察・弁証して
🔹 鍼灸のみで治療して
🔹 結果を出している治療院
は、
✔ 数が少ない
✔ 情報が表に出にくい
✔ 採用もほぼ欠員待ち
という“狭き門”になっています。
結果として、
東洋医学を本気で学びたい
↓
でも就職先がない
↓
複合型治療院に就職
↓
東洋医学を使わない
↓
「東洋医学的な鍼灸治療ってどうやれば…」となる
この構造は長期的に見ると、
- 東洋医学的な臨床力が継承されにくい
- 「東洋医学的鍼灸=よく分からないもの」になりやすい
- 科学寄り or 美容寄りに二極化
- 本来の鍼灸の強み(体質改善・全身調整)が弱まる
東洋医学(伝統鍼灸)で、鍼灸のみで病気を治せる鍼灸院・鍼灸師が非常に少なくなっています。
せっかく学校で東洋医学を勉強して、東洋医学で患者さんを救いたいと思っていても、今の時代にそれを実現することは難しくなってきています。
本物の東洋医学と鍼灸を学べる鍼灸院
東洋医学だけで臨床を行っていて、師弟制度が残っている鍼灸院は、全国的にも極僅かです。
その中でも、実際に若手を受け入れ、育て続けている数少ない鍼灸院が藤本漢祥院です。
藤本漢祥院は、私の鍼の師匠である藤本蓮風先生の鍼灸院です。
東洋医学を本気で学び、鍼灸だけで患者さんを治せる力を身につけたいと考える人にとって、こうした環境は極めて貴重な学びの場と言えるでしょう。
📌 内弟子とはどういうものか
藤本蓮風先生のもとで臨床を共にする修行であり、鍼灸師として圧倒的な成長が得られる場です。
受付・問診・患者対応などの鍼灸院の一般業務を行いながら、師匠の鍼灸臨床を間近で見て、北辰会方式の技術・考え方を学びます。
北辰会(東洋医学の理論に基づいて、鍼1本で病気を治す鍼灸の学術団体)の創始者である、藤本蓮風先生から直接実技指導・講義を受けられることもあります。
鍼灸学校を卒業したばかりや東洋医学を本格的に学び始めたばかりであっても、内弟子になることができます。
私も22歳で北辰会方式を学び始めて、まだ数か月の頃に東洋医学を本気で学びたいと思って内弟子に応募をしました。
内弟子になるには、臨床経験の有無よりも「本気で学びたい」という気持ちが大切です。
藤本漢祥院には、北辰会に所属する鍼灸師やドクターが定期的に研修に来られます。
師匠や兄弟子だけでなく、研修に来られた先生からも勉強や臨床で役立つ話を聞く機会があります。
師匠から臨床を行える学術があると認められれば、通常の診療時間外にスタッフ診療を許可され、臨床経験を積むこともできます。
- なぜそのツボを使うのか
- なぜその証になるのか
- なぜその患者さんが良くなったのか
を考えながら学ぶことができる環境です。
- 東洋医学を本気で学びたい。
- 鍼灸だけで患者さんを治せる鍼灸師になりたい。
- 将来、自分の軸となる治療を身につけたい。
1つでも当てはまるものがあれば、内弟子という道をお勧めします。
複合型治療院で働きながら自分で勉強するよりも、圧倒的に成長することができます。
内弟子について質問や確認したいことがありましたら、藤本漢祥院へ直接お問い合わせください。
見学も可能ですので、実際に内弟子になる前に、どのような臨床を行っているのかを見学し、雰囲気を感じてみることをおすすめします。
内弟子の募集は、常時行っているわけではありませんので、ご興味のある方は、募集の機会を逃さないようご注意ください。
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